高度人材ポイントの「成長分野の先端的事業に従事」とは?10点加算の条件と必要な資料を行政書士が解説

「高度人材ポイント計算表の『成長分野における先端的事業に従事する者』という項目は、どんな仕事なら当てはまるの?」

高度専門職ビザの申請を考えている研究者・エンジニアの方や、採用担当者の方から、こうしたご質問をいただくことがあります。

「先端的」という言葉から、最新の技術を扱う仕事なら加点されると考えてしまいがちですが、実際には対象になる事業があらかじめ決められています。

この記事では、「成長分野の先端的事業に従事」で10点が加算される条件と、対象になる事業の確かめ方、申請のときに必要な資料と注意点を解説します。

※正確には在留資格「高度専門職1号」ですが、この記事では、一般的に伝わりやすい「高度専門職ビザ」という表記を使っています。

記事の監修者

東京セントラル行政書士事務所
行政書士 谷田

在留資格申請をメインに運営している行政書士事務所です。
事務所所在地は東京日本橋駅から徒歩2分のところにあります。
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目次

「成長分野の先端的事業に従事」はどんな加点項目か

「成長分野の先端的事業に従事」の加点は10点で、1号イ・ロ・ハのどの区分でも使える

この加点は、高度専門職の基準を定める省令の特別加算の項目に、「将来において成長発展が期待される分野の先端的な事業として関係行政機関の長の意見を聴いた上で法務大臣が認める事業を担うものであること」として定められています。

加算されるのは10点です。高度専門職1号イ(研究)・ロ(技術・専門職)・ハ(経営・管理)のどの区分でも使える項目で、ポイント計算表では特別加算の「ボーナス⑩」にあたります。

出入国在留管理庁の高度人材ポイント制Q&A Q17では、IoTや再生医療などの成長分野の事業で、所管省庁が関与している先端プロジェクトが対象と説明されています。国が力を入れている分野のプロジェクトに、優秀な外国人の方が加わりやすくするための加点です。

対象の事業は、入管が公表しているリストで決まる

対象の事業は入管が公表しているリストで決まる(国の研究開発事業・補助金のうち、リストに載った事業だけが対象)

対象になる事業は、申請があるたびに入管が個別に判断するものではありません。法務大臣が関係する省庁の意見を聞いたうえで前もって認め、出入国在留管理庁のホームページでリストとして公表しています。

そのため、どれだけ新しい技術を扱う仕事でも、リストに載っている事業でなければ、この項目の加点は受けられません。「AIの開発をしている」「医療機器を作っている」といった業種や分野だけでは判断できない点に注意が必要です。

リストに載っている事業の例

リストは、内閣府・総務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省といった省庁ごとに、国の研究開発事業や補助金の名前が並んでいます。令和8年3月現在のリストから、いくつか例を挙げます。

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関係する省庁事業の例
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、中小企業イノベーション創出推進事業
総務省革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業
文部科学省ムーンショット型研究開発プログラム、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)
厚生労働省厚生労働科学研究費補助金
農林水産省ムーンショット型農林水産研究開発事業
経済産業省ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業、グリーンイノベーション基金事業、ディープテック・スタートアップ支援事業
環境省環境研究総合推進費

大学や研究機関が中心となるプロジェクトのほか、企業やスタートアップが国の補助を受けて行う研究開発も含まれています。全体の一覧は、次のリストでご確認ください。

このリストは、出入国在留管理庁の高度専門職のページの「ボーナス10関係」からも開けます。内容は見直されることがあるため、申請のときは必ずこのページから最新のリストを確認してください。

10点が加算されるための条件

10点が加算されるのは、勤め先がリストの事業を実施していて、ご本人もそのプロジェクトに従事している2つの条件がそろったとき

この加点を受けるには、次の2つがそろっている必要があります。

  1. 勤め先(契約先)が、リストに載っている事業のプロジェクトを実施していること
  2. 申請人ご本人が、そのプロジェクトに実際に従事していること

会社がプロジェクトを行っているだけでは足りない

この項目で特に誤解が多いのが、2つ目の条件です。会社がリストの事業を行っていても、ご本人がそのプロジェクトの仕事をしていなければ加点されません。

たとえば、会社が国の補助金を受けて研究開発プロジェクトを進めていても、ご本人が営業や経理など別の部署の仕事をしている場合は、この項目の対象にはなりません。反対に、プロジェクトの研究や開発のメンバーとして働いている方は、加点を受けられる可能性があります。

会社が受けている「イノベーション促進支援措置」の加点とは別の項目

ポイント計算表には、よく似た名前の「イノベーションを促進するための支援措置を受けている機関における就労」という項目もあります。こちらは、勤め先の会社が国の認定や補助金を受けていることで加点される項目で、ご本人がどの仕事をしているかは問われません。

一方、「成長分野の先端的事業に従事」は、ご本人がどのプロジェクトで働いているかで判断する項目です。名前が似ているため混同されやすいので、どちらの項目で加点を考えているのかを整理しておきましょう。イノベーション促進支援措置の加点や、中小企業の場合の上乗せについては、中小企業の定義と加点を解説した記事でくわしく説明しています。

行政書士 谷田

大学や他の会社と共同でプロジェクトを進めている場合など、関わり方によっては、どの資料で何を示すかの判断が分かれることがあります。ご自身のケースが当てはまるか迷ったときは、申請の前にご相談ください。

加点を受けるために必要な資料

加点を受けるために示す資料は、補助金交付通知書の写しとご本人がプロジェクトに従事していることの説明資料の2つ

高度専門職ビザの申請では、ポイント計算表に書いた点数を裏付ける資料を出します。出入国在留管理庁のポイント計算表の各項目に関する疎明資料(基本例)では、この項目について「そのことを証する文書」として、次のような資料が例に挙げられています。

  • その事業に関する補助金交付通知書の写し(委託の事業なら委託契約書など)
  • ご本人がそのプロジェクトに従事していることを説明する資料

つまり、「会社がリストの事業を実施していること」と「ご本人がそのプロジェクトで働いていること」の両方を、資料で示す必要があります。説明資料には、プロジェクトの名前や、ご本人がどんな役割・業務を担当しているのかが具体的にわかるように書いておくと、審査する側にも伝わりやすくなります。

上記の書類は、在留資格認定証明書交付申請のときに提出する書類の一例です。申請の種類や申請人の方の状況によって、必要な書類は全く異なります。全てをそろえて提出したとしても、入管から追加の資料を求められ、別途資料の提出が必要になることがあります。

なお、出入国在留管理庁の高度専門職のページでは、ポイントの合計が70点以上あることを確認できる資料を出せば足り、当てはまる項目すべての資料を出す必要はないとされています。ほかの項目だけで70点に届く方は、この加点を使わずに申請することもできます。

「成長分野の先端的事業」の加点を使うときの注意点

事業の正式な名前でリストと照らし合わせる

社内では「〇〇プロジェクト」のような呼び名で呼ばれていても、リストに載っているのは国の事業や補助金の正式な名前です。補助金の交付通知書や契約書などで、会社が参加している事業の正式な名前を確かめ、リストのどの事業にあたるのかを照らし合わせましょう。

申請の時点で最新のリストを確認する

リストは見直されることがあり、以前は載っていた事業が外れたり、新しい事業が加わったりします。過去に同じ会社の方が加点を受けていても、今回も同じように使えるとは限りません。申請の準備を始めるときに、出入国在留管理庁のホームページで最新のリストを確認してください。

70点ぎりぎりの方は特に慎重に

高度専門職ビザは、ポイントの合計が70点以上で対象になります。この10点を含めてようやく70点に届く方は、加点が認められないと基準を下回り、高度専門職ビザが許可されないおそれがあります。プロジェクトがリストに載っているか、ご本人の仕事がそのプロジェクトの業務だと資料で示せるかを、申請前にしっかり確かめることが大切です。

学歴・職歴・年収など、ほかの項目の数え方は高度人材ポイント計算表の項目を解説した記事で、高度専門職ビザ全体のしくみは高度専門職ビザの解説記事でご確認いただけます。研究開発に力を入れている中小企業で働く方は、「試験研究費等比率が3%超」の加点を解説した記事もあわせてご覧ください。

行政書士 谷田

ポイントの計算は、一つの項目の数え方を間違えるだけで見通しが変わってしまいます。ご自身で計算した結果に少しでも不安があれば、申請の前に一緒に確認しましょう。

技術・人文知識・国際業務から高度専門職への変更については、こちらの記事で違いや注意点をまとめています。

まとめ

「成長分野の先端的事業に従事」の加点は、国が関わる先端プロジェクトで働く方が受けられる10点のボーナスです。

  • 対象は、出入国在留管理庁が公表しているリストに載った事業だけ
  • 会社がプロジェクトを実施していることに加え、ご本人が実際に従事していることが条件
  • 会社が受けている「イノベーション促進支援措置」の加点とは別の項目
  • 補助金の交付通知書の写しと、従事していることの説明資料などで示す
  • リストは見直されるため、申請の時点で最新のものを確認する
行政書士 谷田

ポイント計算や資料の準備に不安がある方や、申請の手間を減らしたい方は、ぜひ一度東京セントラル行政書士事務所にご相談ください。

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よくある質問

AIの開発をしている会社で働いています。先端的な事業なので加点されますか?

業種や分野だけでは加点されません。会社が参加している国の事業が、出入国在留管理庁の公表しているリストに載っている場合に対象になります。

>>対象になる事業を見る

会社がリストの事業を行っています。プロジェクトとは別の部署で働く私も加点されますか?

いいえ。ご本人がそのプロジェクトに実際に従事していることが条件です。会社が事業を行っているだけでは加点されません。

>>加点される条件を見る

大学の研究者も対象になりますか?

この項目は、高度専門職1号イ(研究)・ロ・ハのどの区分でも使えます。リストには大学や研究機関が中心となる事業も含まれているため、リストの事業のプロジェクトに従事している研究者の方も対象になりえます。

どんな資料を出せばよいですか?

例として、その事業に関する補助金交付通知書の写し(委託の事業なら委託契約書など)と、ご本人がそのプロジェクトに従事していることを説明する資料が挙げられています。会社に用意していただく資料が多いため、早めに採用担当者の方へ相談しましょう。

>>必要な資料を見る

対象になる事業のリストは、どこで確認できますか?

出入国在留管理庁の高度専門職のページにある「ボーナス10関係」のリストで確認できます。リストは見直されることがあるため、申請の時点の最新版を見てください。

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