2か月の特例期間中に出国してもいい?審査中に在留期限が過ぎたときの一時帰国の注意点を行政書士が解説

「更新の結果がまだ出ないまま、在留カードの期限が過ぎてしまった」

そんな状況で、家族の事情や仕事の都合から、一時的に母国へ帰りたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

在留期間の更新や在留資格の変更を申請していれば、在留期限が過ぎても最大2か月は日本にいられる「特例期間」があります。

ただし、この期間に日本を出国するには守らなければならない期限があり、思わぬトラブルで日本に戻れなくなるおそれもあります。

この記事では、特例期間のしくみと、審査中に出国するときの条件・リスク・準備しておきたいことを解説します。

記事の監修者

東京セントラル行政書士事務所
行政書士 谷田

在留資格申請をメインに運営している行政書士事務所です。
事務所所在地は東京日本橋駅から徒歩2分のところにあります。
お問い合わせはこちらからお気軽にお送りください。

目次

審査中に在留期限が過ぎたときの「特例期間」とは

在留期間の更新や在留資格の変更を申請したのに、在留期限までに結果が出ないことがあります。その場合でも、すぐに不法滞在になるわけではありません。

入管法では、在留期限までに申請をしていれば、「結果が出る時」か「在留期限から2か月が過ぎる時」のどちらか早い時まで、それまでの在留資格のまま日本にいられると定めています(出入国管理及び難民認定法第20条第6項、第21条第4項)。この期間を「特例期間」といいます。

特例期間中は、それまでと同じ活動を続けることができます。たとえば会社員の方は、これまでどおり同じ会社で働けます(出入国在留管理庁「特例期間とは?」)。

特例期間の対象になる人・ならない人

スクロールできます
状況特例期間
在留期限までに更新・変更を申請し、結果がまだ出ていない対象になる
在留期限が過ぎてから申請した対象にならない
30日以下の在留期間で在留している対象にならない
永住許可だけを申請していて、更新の申請をしていない対象にならない

永住許可の申請は、それだけでは特例期間の対象になりません。永住の審査中に在留期限が来る方は、在留期限までに別に更新の申請が必要です(出入国在留管理庁「永住許可申請」)。永住申請の流れは永住許可申請の解説記事をご覧ください。高度人材の方が永住の結果を待つ間の注意点は、高度人材の永住申請の解説記事で紹介しています。

特例期間中であることは在留カードの裏面で確認できる

入管の窓口で申請すると、在留カードの裏面にある「在留期間更新等許可申請欄」に、申請中であることが記載されます。表面の期限が過ぎていても、裏面を見れば審査中だとわかるしくみです。

一方、オンラインで申請した場合は、この裏面の記載がされません。この違いは、後で説明する「出国するときの備え」に大きくかかわります。

特例期間中でも、みなし再入国許可で出国することはできる

出入国在留管理庁の出入国審査・在留審査Q&A Q61では、更新や変更の申請中であっても、再入国許可やみなし再入国許可によって出国できると説明されています。

みなし再入国許可とは、有効なパスポートと在留カードを持っている方が、出国のときに「また戻ってきます」と意思を示せば、事前に許可を取らなくても1年以内なら再入国できる制度です(出入国在留管理庁「みなし再入国許可」、入管法第26条の2第1項)。

再入国の期限は「在留期限から2か月」と「出国から1年」の早い方

注意したいのは、戻ってこなければならない期限です。特例期間中にみなし再入国許可で出国した場合は、在留期限から2か月が過ぎる日と、出国から1年の、どちらか早い日までに日本に戻る必要があります。審査中に出国する場合は、実際には「在留期限から2か月が過ぎる日」が戻る期限になると考えておきましょう。

さらに、戻ってきた後、在留期限から2か月が過ぎる前に、申請した入管へ行って結果を受け取る必要があります。2か月を過ぎてしまうと、申請をしていても不法残留になってしまうと、入管のQ&Aでも注意が呼びかけられています。

特例期間中に出国する場合の流れ

STEP
戻る日と結果を受け取る日を逆算して予定を立てる

在留期限から2か月が過ぎる日を確認し、その日より十分前に日本に戻れる航空券を手配します。戻った後に入管へ行く日も考えておきます。

STEP
出国のときにみなし再入国許可を使う意思を示す

パスポートと在留カードを持って出国審査を受けます。再入国用のEDカードにある「一時的な出国であり、再入国する予定です」の欄にチェックを入れ、みなし再入国許可で出国したいと伝えます。

STEP
海外にいる間も入管からの連絡を受けられるようにしておく

審査中に、入管から追加の資料を求められることがあります。メールや郵便を確認できる状態にし、必要なら日本にいる家族や会社、依頼している行政書士と連携できるようにしておきます。

STEP
特例期間が終わる前に日本へ戻り、入管で結果を受け取る

在留期限から2か月が過ぎる前に再入国し、そのまま期限内に申請先の入管で結果を受け取ります。

なお、海外にある日本の大使館・領事館では、在留期間の更新の申請はできません(出入国審査・在留審査Q&A Q64)。手続きはすべて日本国内の入管で行う必要があります。

特例期間中の出国をおすすめしにくい3つの理由

ここまでのとおり、法律上は特例期間中でも出国・再入国ができます。それでも、当事務所では審査が終わるまでは、できる限り日本にいていただくことをおすすめしています。理由は次の3つです。

海外の空港で搭乗を断られるおそれがある

特例期間は日本の法律の制度です。海外の空港で日本行きの飛行機に乗るとき、航空会社の職員が日本の特例期間のしくみを知っているとは限りません。

在留カードの表面の期限が過ぎているため、「この在留カードは期限切れなので日本に入国できない」と判断され、搭乗手続きで止められるおそれがあります。説明が通じるかどうかは現地の職員の判断によるため、確実に戻れるとは言い切れません。

実際に、窓口で申請した場合にしか受け取れない申請受付票の原本を示せないために、出国できなかったケースも見受けられます。また、申請受付票を持っていれば必ず出国できるとも限りません。

予定どおり戻れないと在留資格を失う

飛行機の欠航、急な病気、現地での家族の事情など、予定外の出来事で帰国が遅れることもあります。特例期間が終わるまでに日本に戻れなければ、みなし再入国許可の期限が切れ、それまでの在留資格はなくなってしまいます。

そうなると、もう一度日本で暮らすためには、海外から在留資格認定証明書の交付申請をして呼び寄せてもらうところから、手続きをやり直すことになります。仕事や家族の生活に大きな影響が出てしまいます。

審査中の追加資料や結果の受け取りに対応しにくい

審査の途中で、入管から追加の資料を求められることがあります。海外にいると、書類を集めて提出するのに時間がかかり、審査がさらに長引く原因になりかねません。

また、結果は日本の入管で受け取る必要があります。結果が出たタイミングで海外にいると、受け取りの期限との関係で、慌ただしく帰国しなければならなくなります。

特例期間中の出国は、法律上はできても、戻れなくなったときの影響がとても大きい行動です。審査が終わるまでは、できる限り日本国内で待つことをおすすめします。

どうしても出国しなければならないときの準備

家族の病気やご不幸など、どうしても出国しなければならない事情もあると思います。その場合は、少しでもリスクを減らすために、次の準備をしておきましょう。

申請中であることを示せる書類を持っていく

海外の空港で説明が必要になったときに備えて、申請中であることを第三者に示せるものを手元に用意しておきます。申請の方法によって、手に入るものが違います。

入管の窓口(紙)で申請した場合

在留カードの裏面に申請中であることが記載されます。また、窓口で申請を受け付けたことを示す「申請受付票」を受け取れます。申請受付票は、英語表記のものをお願いすることもできます。ただし、一度日本語の申請受付票を受け取ったあとで、英語に書き直してもらうことはできません。海外へ行く予定がある方は、申請の時点で英語表記の申請受付票にしてほしいと伝えてください。

オンラインで申請した場合

在留カードの裏面に申請中の記載がされず、紙の申請受付票もありません。入管から届く申請完了のお知らせには特例期間についての説明がないため、海外の空港で申請中であることを示すのが難しくなります。

そのため、審査中に出国する可能性が少しでもある方は、オンラインではなく窓口での申請を選ぶことも検討してみてください。オンライン申請で許可が出た後の在留カードの受け取り方については、オンライン申請の在留カード窓口受け取りの記事で紹介しています。

戻る日に余裕をもたせる

帰りの便は、特例期間が終わるぎりぎりではなく、欠航や乗り遅れがあっても間に合う日程にします。戻った後に入管で結果を受け取る日数も考えて、早めに戻るようにしましょう。

そもそも特例期間に入らないよう、早めに申請する

出国の予定がわかっているなら、在留期限のうちに結果が出るよう、早めに申請しておくことがいちばんの対策です。出入国在留管理庁も、在留期間の更新は在留期限の3か月前から45日前までの申請に努めるよう案内しています(出入国在留管理庁「在留期間内での変更又は更新許可を希望する場合について」)。ただし、早く申請しても在留期限内に結果が出ると約束されるわけではありません。

行政書士 谷田

出国の予定や申請の状況は、お一人おひとり違います。「この日程で戻れるか」「窓口とオンラインのどちらで申請すべきか」など、迷ったときは出国の前にご相談ください。

まとめ

在留期限までに更新や変更を申請していれば、結果が出るまで最大2か月は「特例期間」として日本にいられます。この期間でも、みなし再入国許可を使えば出国はできます。

  • 特例期間は、在留期限から2か月が過ぎる時か、結果が出る時の早い方まで
  • 出国した場合は、在留期限から2か月が過ぎる前に戻り、入管で結果を受け取る必要がある
  • 海外の空港で搭乗を断られる、予定外の事情で戻れないなどのリスクがある
  • オンライン申請では在留カード裏面の記載がなく、申請中だと示しにくい
  • 出国の予定があるなら、在留期限の3か月前から早めに申請しておく
行政書士 谷田

審査中の出国や申請のタイミングに不安がある方、ご自身での申請に不安がある方は、ぜひ一度東京セントラル行政書士事務所にご相談ください。

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よくある質問

特例期間中に日本を出国しても、在留資格はなくなりませんか?

みなし再入国許可で出国し、在留期限から2か月が過ぎる前に戻ってくれば、在留資格はなくなりません。期限までに戻れなかった場合は、在留資格を失います。

>>出国するときの期限を見る

特例期間中も仕事を続けてよいですか?

はい。特例期間中は、それまでの在留資格で認められていた活動を続けることができます。

海外にいる間に結果が出たらどうなりますか?

結果は日本の入管で受け取る必要があります。在留期限から2か月が過ぎる前に日本へ戻り、申請先の入管で受け取ってください。

海外の日本大使館で更新の申請はできますか?

できません。在留期間の更新は、日本国内の住んでいる地域を管轄する入管で申請します。

出国する予定があるときは、どう申請すればよいですか?

在留期限内に結果が出るよう早めに申請するのが基本です。審査中に出国する可能性がある場合は、在留カード裏面に申請中の記載がされる窓口での申請も検討してください。

>>出国前の準備を見る

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