在留資格「高度専門職」とは?ポイント制ビザの全体像を行政書士が解説

この記事で分かること

「高度専門職ビザと聞いたことはあるが、どんな制度かわからない」「自分は高度専門職ビザの対象になるのか」外国人の高度人材やその雇用企業から、こうしたご質問を多くいただきます。

在留資格「高度専門職」は、日本が世界の優秀な人材を積極的に受け入れるために設けたポイント制の就労ビザです。学歴・職歴・年収等の項目をポイント化し、70点以上の外国人に一般的な就労ビザよりも幅広い優遇措置を与える仕組みです。本記事では、入国・在留審査要領の原文をもとに、在留資格「高度専門職」の全体像を徹底解説します。

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目次

「高度専門職」制度の誕生と背景

時期出来事
平成22年(2010年)3月第4次出入国管理基本計画・新成長戦略において、高度人材外国人の受入促進が政策課題として位置づけられる
平成24年(2012年)5月ポイント制を活用した「特定活動」の在留資格による高度人材優遇制度が施行される(高度人材上陸告示)
平成27年(2015年)4月入管法改正により「高度専門職1号」「高度専門職2号」が在留資格として独立して施行される
平成29年(2017年)4月「日本版高度外国人材グリーンカード」として、高度専門職での在留期間に応じた永住許可の短縮が施行される(最短1年・3年)
令和6年(2024年)4月特別高度人材制度(年収2,000万円以上等の要件でポイント計算不要)が施行される

現在の「高度専門職」は、ポイント制によって客観的に高度人材を認定し、一般的な就労ビザよりも活動の自由度を高め、日本への定着(永住)も早期に可能とする総合的な優遇制度として機能しています。

高度専門職1号:3つの活動区分(イ・ロ・ハ)

従事する活動内容に応じた3つの区分

高度専門職1号イ
高度学術研究活動 研究・指導・教育
高度専門職1号ロ
高度専門・技術活動 自然科学・人文科学
高度専門職1号ハ
高度経営・管理活動 事業の経営・管理
入管法別表第1の2「高度専門職」の項下欄第1号(活動の定義

高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であつて、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの

イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

区分活動の通称主な対象者重複する主な在留資格
高度専門職1号イ高度学術研究活動大学教授・研究機関の研究者・教育者等「教授」「研究」
高度専門職1号ロ高度専門・技術活動IT・エンジニア・技術者・専門職人材等「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」
高度専門職1号ハ高度経営・管理活動企業経営者・事業管理者・役員等「経営・管理」「法律・会計業務」

高度専門職1号の特徴:「指定書」に機関名が記載される

高度専門職1号の在留資格を決定する際、「指定書」が交付されます。この指定書には法務大臣が指定した本邦の機関名が記載されており、原則としてその指定された機関での活動が認められます。

高度専門職1号ロは、指定された機関以外との契約に基づく活動が含まれていません(1号イと異なる点)。これは、自然科学・人文科学の知識を要する業務は広範にわたり、制限なしに認めると活動範囲が事実上無限定になるためです。

付随活動:主たる活動に加えて認められる活動

区分認められる付随活動
高度専門職1号イ①主たる活動と関連する事業の自ら経営
②指定機関以外の機関との契約に基づく研究・指導・教育
高度専門職1号ロ主たる活動と関連する事業の自ら経営
(例:IT企業の役員が関連子会社を設立して経営)
高度専門職1号ハ主たる活動と関連する事業の自ら経営
(例:IT企業の役員が同種他社の社外取締役を兼任)

「付随活動」はあくまで「主たる活動と併せて」行うものです。主たる活動(指定機関での活動)を行わず、付随活動のみを行うことは認められません。

高度専門職2号:活動制限の大幅緩和・在留期間無期限

高度専門職2号は、高度専門職1号で一定期間在留した者を対象とした、より優遇度の高い在留資格です。

比較項目高度専門職1号高度専門職2号
在留期間5年(一律)無期限(無制限)
活動制限指定された機関・活動に限定幅広い活動が可能(機関指定なし)
所属機関の指定指定書に機関名が記載される所属機関の法務大臣指定が不要
申請要件ポイント70点以上高度専門職1号で3年以上在留
(特別高度人材は1年)
永住申請ポイント70点以上で3年後・80点以上で1年後いつでも永住申請可能

高度専門職2号は在留期間が無期限であるため、更新申請が不要という大きなメリットがあります。また、所属機関の変更があっても法務大臣の指定変更手続きが不要となるため、転職や副業・兼業の柔軟性が大幅に向上します。

高度専門職2号の活動範囲

「高度専門職1号イ」「高度専門職1号ロ」「高度専門職1号ハ」のいずれかの在留資格で行うことができる活動、また、このような活動と併せて行う「教授」「芸術」「宗教」「報道」「法律・会計業務」「医療」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興行」若しくは「技能」の在留資格で行うことができる活動が該当する。

ポイント制の仕組み:70点で取得できる

高度専門職の在留資格を取得するための核心が「ポイント計算」です。

ポイント制の基本内容
必要なポイント数70点以上(高度専門職1号イ・ロ・ハのすべて)
評価項目学歴・職歴・年収・研究実績・資格・特別加算(日本語・日本の大学卒業・イノベーション認定企業等)
ポイント計算のタイミング申請時点
年収の最低基準高度専門職1号ロ・ハは年収300万円以上
(この基準を下回ると他の項目に関わらず不合格)
特別高度人材の場合ポイント計算不要
(学歴・職歴・年収の要件のみで取得可能)

ポイント計算は自己申告によるポイント計算表の提出が求められます。合計点が70点以上あることを立証する書類が提出されれば足りるため、全評価項目について立証書類を提出する必要はありません。

永住許可との関係:ポイントによって最短期間が変わる

ポイントの結果永住許可申請に必要な在留年数
70点以上80点未満高度専門職の在留資格で3年以上継続在留
80点以上高度専門職の在留資格で1年以上継続在留(日本版高度外国人材グリーンカード)
特別高度人材高度専門職の在留資格で1年以上継続在留

ポイントの主な評価項目(高度専門職1号ロの例)

各区分でポイントの配点・計算方法が異なりますので、詳細は別記事で解説しています。

特別高度人材制度:ポイント計算不要の特例

通常のポイント制と並行して、「特別高度人材制度」が設けられています。学歴・職歴と高額年収の要件を満たす場合、ポイント計算なしで高度専門職の在留資格を取得できます。

区分要件年収要件
高度専門職1号イ・ロ(特別高度人材)①②のいずれかに該当
①修士号以上の学位を取得していること
②従事する業務について10年以上の実務経験
年収2,000万円以上
高度専門職1号ハ(特別高度人材)事業の経営・管理について5年以上の実務経験年収4,000万円以上

「特別高度人材制度」の優遇措置は以下の通りです。

特別高度人材の主な優遇措置内容
ポイント計算が不要従来の70点のポイント計算なしで高度専門職の在留資格を取得できる
高度専門職2号への移行が早期に可能通常は高度専門職1号で3年以上の在留が必要なところ、特別高度人材は1年以上で2号への変更が可能
永住許可申請の特例1年以上の継続在留で永住許可申請が可能

他の在留資格との関係:必ず別の在留資格と重複する

高度専門職の在留資格は、他の在留資格の活動と必ず重複するという特徴があります。

重複する他の在留資格

「教授」「芸術」「宗教」「報道」のいずれかに該当すること、又は「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」のいずれかに該当し、かつ、上陸基準省令に定める基準に適合する必要がある

高度専門職の在留資格を取得するためには、まず通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)に該当し、かつその要件を満たした上で、さらにポイント計算が70点以上でなければなりません。

高度専門職1号の区分主に重複する在留資格
高度専門職1号イ(学術研究)「教授」「研究」
高度専門職1号ロ(専門・技術)「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」
高度専門職1号ハ(経営・管理)「経営・管理」

「外交」「公用」「技能実習」の在留資格は高度専門職の対象から除外されています。

主な優遇措置:高度専門職ビザで何ができるか

優遇措置内容
複合的な活動の許可主たる活動に加え、関連する事業の自営や、指定機関以外での研究・教育活動(1号イのみ)が認められる
配偶者の就労高度専門職の在留資格で在留する者の配偶者が、「技術・人文知識・国際業務」等に相当する業務に就くことができる(通常の「家族滞在」では就労に制限あり)
家事使用人の帯同一定の要件のもとで、外国からの入国時に家事使用人を帯同できる(特定活動)
永住許可の早期取得一定の要件のもとで、養育等の目的で本人または配偶者の親を帯同できる(特定活動)
在留期間5年(1号)・無期限(2号)ポイント70点以上は3年後、80点以上は1年後に永住許可申請が可能(通常は10年の継続在留が必要

審査の優先処理

高度専門職の在留資格に係る申請は、すべて優先処理の対象となります。と、いうことになっているのですが…

入管のホームページにも、高度人材の審査は海外からの呼び寄せの場合10日以内、日本国内の変更や更新は5日以内おを目途に審査する旨が書いてあります。しかし実際には東京入管で2か月~4か月ほど審査期間がかかることが多々あります。申請によっては1年近くかかるケースもありました。東京以外の入国管理局であれば状況が異なっている可能性もあります。

よって、入管のホームページに記載されている通りに5日~10日で審査結果が出るかもと思って待っていると、計画が崩れてしまう可能性もありますので、あまりその優先処理日数をあてにせずに計画を立てた方が良いです。

よくある質問(Q&A)

ポイントが70点に届かない場合はどうすればよいですか?

ポイントが70点に達しない場合は、通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)での申請となります。ただし、特別加算項目(日本語能力・日本の大学卒業等)を活用することで追加のポイントが得られる場合があります。また、転職による年収アップや資格取得によってポイントを積み上げていくことも有効です。

現在「技術・人文知識・国際業務」で在留中ですが、高度専門職に変更できますか?

ポイントが70点以上に達している場合は、在留資格変更許可申請によって「高度専門職1号ロ」への変更が可能です。在留資格の変更は現在の在留期間内に申請する必要があります。

高度専門職1号から2号へはいつ変更できますか?

配偶者・子は「家族滞在」の在留資格で帯同できます。さらに、高度専門職の優遇措置として、配偶者には「技術・人文知識・国際業務」等に相当する業務への就労が認められます。また、一定の要件のもとで親・家事使用人の帯同も「特定活動」の在留資格で認められています。

まとめ

在留資格「高度専門職」の全体像を最終整理します。

ポイント内容
制度の目的日本の学術研究・経済発展に寄与する高度人材の受入促進。ポイント制によって客観的に高度人材を認定
3つの活動区分イ(学術研究)・ロ(専門・技術)・ハ(経営・管理)の3区分。それぞれ対象活動と主に重複する在留資格が異なる
ポイント制学歴・職歴・年収・研究実績・資格・特別加算の各項目を評価し、70点以上で取得可能。申請時点でポイントを満たせばよい
特別高度人材制度年収2,000万円以上(1号ロ)・4,000万円以上(1号ハ)等の要件を満たす場合、ポイント計算不要で取得可能
主な優遇措置配偶者の就労・家事使用人・親の帯同・永住の早期取得(最短1年)・在留期間5年(2号は無期限)
優先処理在留資格変更・更新は5日以内、認定証明書は10日以内の優先処理と入管ホームページには記載されているものの、東京入管の場合だと、実際にはそのような期間内に審査完了することは稀。

在留資格「高度専門職」は、外国人の高度人材にとって日本での活躍と長期定着を実現するための最も優遇度の高い在留資格制度です。自分がポイント対象に該当するかどうかの確認から、申請書類の準備まで、入管専門の行政書士にお気軽にご相談ください。

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