高度人材ポイント計算表『年収ポイント』について行政書士が解説

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結論:書面で証明できる未来の確定年収のみが算入できる

高度専門職の在留資格申請をしたくて高度人材ポイント計算をしているのですが、わたしの年収を何円で計算して良いのかわかりません。なぜなら、わたしの雇用契約には月収の他に技術手当やボーナス、残業代についても記載があるからです。これらは全て年収ポイントに換算できますか?

できる場合とできない場合があります。書面で確定しているものは算入できますし未確定なものは算入できません。具体的にどういうことなのか、一緒に見ていきましょう!

月収や年収は書面で確定している必要がある

 役員の方であれば株主総会議事録等の報酬決定書面、社員の方であれば採用内定通知書や雇用契約書で年収について確定している必要があります。例えば月収30万円と雇用契約書に記載がある場合には、年収は360万円は確定となります。

残業代は年収ポイントに算入して良いのか?

 残業代は、書面上で未確定なものは算入できず、確定的なものは算入ができます。

『固定残業代月額30,000円(30時間分) ※超過分は別途支給します』
という記載があった場合にはどうなるか見ていきましょう。

 具体的な金額が記載されている月額3万円は年収ポイントに換算できますが、「超過分は別途支給します」、という部分は具体的な金額が未確定でしかも、将来何時間残業するかどうかもその時になってみないとわかりません。よって、固定残業代の月額3万円は年収ポイント計算に算入できますが、超過分は未確定なので換算できません。

 もしも、超過分のところに、「1時間あたり1,500円を支給」というような具体的な数字が入っている場合はどうなの?と気になる方もいらっしゃるかもしれないのですが、それでも年収ポイント計算には算入できません。なぜなら、1時間ごとの残業代は確定していますが、何時間残業するかが未確定だからです。

手当ては年収ポイントに算入して良いのか?

 雇用契約によっては技術手当や役職手当など、固定給とは別の手当が記載されていて、実質給料はもっと高いのに、別記載されているのでこれは年収ポイントに算入できないのでは?と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、手当についても残業代と考え方は同じです。
書面で確定しているものは算入でき、書面で未確定のものは算入ができません。

算入できる例)技術手当月額50,000円を別途支給します。
算入できない例)技術手当を毎月適宜支給します。

 雇用契約書に記載の文言が前者の場合は年収ポイントに算入できるのですが、後者の場合は算入ができません。

ボーナスは年数ポイントに算入して良いのか?

 ボーナスについても年収ポイントに算入して良いのか迷われる方がいらっしゃると思います。こちらも他の項目と考え方は同じです。書面で確定しているものは算入してOK、書面で未確定なものは算入できません。

算入できる例)ボーナスは月額給料の3か月分を6月と12月にそれぞれ支給します。
算入できない例)ボーナスは当社の売上状況に応じて支給します。

 雇用契約書に記載の文言が前者の場合は年収ポイントに算入できるのですが、後者の場合は算入ができません。

問題点

 結果的には1000万円が支給されるよな企業で就労していたとしても、議事録や雇用契約書に記載の給料が300万円しか確定していない場合、高度人材ポイント計算においては300万円しか算入することができません。雇用契約書の記載の仕方次第では実態にそぐわないと思う方がいらっしゃるかもしれません。特に成果報酬型の企業で大きな営業成績を結果的に上げた方などは、実態よりも年収ポイント計算は著しく少額になってしまいます。高度人材ポイント計算での年収ポイント計算では、過去の実績を一切見てくれないのです。

まとめ

高度人材ポイント計算表における年収ポイントの計算では以下のポイントを押さえて計算するようにしましょう。

・書面で金額が確定している部分は年収ポイントに算入できる。
・書面で金額が確定していないものは年収ポイントに算入できない。
・過去の給与支給実績は高度人材ポイント計算においては関係が無い。

この記事を書いた人

入管業務を専門にしている行政書士です。「高度専門職」「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」のビザ取得に豊富な経験があります。受任できるビザの種類は限定しておりません。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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