【高度人材】在留資格「高度専門職」について行政書士が解説

目次

結論:一般の就労系在留資格のグレードアップビザで複雑な制度になっている

最近「高度専門職」という在留資格の名前をよく聞きます。確か、永住申請の早期申請の優遇措置があると聞いてとても気になっています。一体どんな在留資格なんですか?

「高度専門職」は、一般の就労系在留資格のグレードアップ版の在留資格で仕組みは複雑です。一つ一つ解説していきます!

制度①数々の優遇措置がある

高度専門職共通の優遇措置

 以下のような優遇措置を受けることが出来ます。

・在留カードの期限は必ず「5年」が発給される
・永住申請の早期申請ができる(日本滞在歴1~3年で申請可能)
・親を招へいできる制度がある
・家事使用人を招へいできる制度がある
・配偶者の技人国相当の職務につきたい場合実務経験や学歴の要件が免除される

特別高度人材の追加優遇措置

特別高度人材に該当する方の場合は上記の優遇措置に加えて以下の優遇措置も追加されます。

・大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
・高度専門職2号への移行までの日本滞在期間が1年(ポイント制の高度人材の場合は3年)

制度②「高度専門職」の在留資格は2段構成になっている

 高度専門職の在留資格は「高度専門職1号」「高度専門職2号」の2段構成になっています。まず入り口となる在留資格は「高度専門職1号」です。高度専門職の在留資格を取得する方は全員まず「高度専門職1号」の在留資格を取得します。高度専門職の在留状況が良好である場合、高度専門職2号に移行できます。高度専門職2号の大きな特徴は在留期限が無期限になるということです。

高度専門職2号(在留期限無期限)

 ⇧   在留状況が良好な場合

高度専門職1号(在留期限5年)

制度③イロハに分類されている

 高度専門職1号の在留資格は「高度専門職1号イ」「高度専門職1号ロ」「高度専門職1号ハ」の3種類に分けられています。在留カードにはイロハの分類まで印字されます。

高度専門職1号イに想定される一般就労系在留資格

 「教授」「研究」「教育」などの研究教育系在留資格が想定されています。

高度専門職1号ロに想定される一般就労系在留資格

 「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などの就職系在留資格が想定されています。場合によってはその他の在留資格が想定されるケースもあります。

高度専門職1号ハに想定される一般就労系在留資格

 「経営・管理」のような経営関係の在留資格が想定されています。場合によってはその他の在留資格が想定されるケースもあります。

制度④「高度専門職1号」の在留資格申請には6種類の入口がある

 高度専門職1号を申請する際にはイロハの3種類に分類されており、更に「ポイント制度」と「特別高度人材」という2つのルートがあります。よって3種類×2ルート=6個の入口があるということになります。

書き出してみると以下の6ルートになります。
■高度専門職1号イ×ポイント制度ルート
■高度専門職1号イ×特別高度人材ルート
■高度専門職1号ロ×ポイント制度ルート
■高度専門職1号ロ×特別高度人材ルート
■高度専門職1号ハ×ポイント制度ルート
■高度専門職1号ハ×特別高度人材ルート

必要書類は「ポイント(もしくは特別高度人材)疎明資料+一般就労系在留資格の疎明資料」

 高度専門職の在留資格申請をする場合には、「ポイント(もしくは特別高度人材)疎明資料+一般就労系在留資格の疎明資料」を提出します。よって、高度人材ポイントが合格点に達しているか(もしくは特別高度人材に該当するか)と、一般就労系在留資格の2つの側面で審査されるのです。

 審査の結果高度人材ポイント(もしくは特別高度人材)も一般就労系資格も両方共クリアの場合は「高度専門職1号」の在留資格が発給されます。高度人材ポイント(もしくは特別高度人材)は認められなかったものの一般系就労資格はクリアしている場合は一般就労資格が発給され、高度人材ポイント(もしくは特別高度人材)も一般就労資格も両方共要件を満たしていないと判断された場合は不許可になるのです。

特別高度人材に該当する要件

 特別高度人材制度(J-Skip)を利用して高度専門職の在留資格申請をするときには高度人材ポイント計算はしません。特別高度人材に当てはまる条件が決まっており、その条件を満たした時点で特別高度人材に該当します。ポイント計算は不要です。

 書類としては「特別高度人材該当性の疎明資料+一般就労系在留資格の疎明資料」を提出します。そして、特別高度人材に該当するかどうか?と、一般就労系在留資格の2つの側面で審査されるのです。

 審査の結果特別高度人材に該当し、更に一般就労系資格も両方共クリアの場合は高度専門職が発給されます。特別高度人材であるとは認められなかったものの一般系就労資格はクリアしている場合は一般就労資格が発給され、高度人材ポイントも一般就労資格も両方共要件を満たしていないと判断された場合は不許可になるのです。

特別高度人材の要件「高度専門職1号イ」

  以下のいずれかを満たす方が特別高度人材に該当します。
  ・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上の方
  ・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上の方

特別高度人材の要件「高度専門職1号ロ」

  以下のいずれかを満たす方が特別高度人材に該当します。
  ・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上の方
  ・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上の方

特別高度人材の要件「高度専門職1号ハ」

  以下のいずれかを満たす方が特別高度人材に該当します。
  ・事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上の方

まとめ

 高度専門職の在留資格は魅力的な在留資格ですが、制度が複雑です。しかし以下の3つを押さえておけば、高度専門職の全体像をおさえられていると言えます。

①高度専門職1号と2号の2段構成になっていてまずは全員1号から始まる
②イロハの3つの分類がある
③ポイント制度と特別高度人材の2ルートある

全体像をとらえたうえで、どのルートで高度専門職の在留資格を取得するのがよさそうか、検討していきましょう。

この記事を書いた人

入管業務を専門にしている行政書士です。「高度専門職」「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」のビザ取得に豊富な経験があります。受任できるビザの種類は限定しておりません。まずはお気軽にご相談くださいませ。

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