【行政書士が解説】在留資格審査中に日本を出国して良いですか？

出国はしない方が良い

日本の法律では出国ＯＫ、海外は運次第

　日本の法律では、在留資格変更許可申請中もしくは在留期間更新許可申請中に在留期限が過ぎた場合であっても、在留期限から2ヶ月間は適法に日本に滞在することが出来ます。審査中に在留期限が切れてから、合法に滞在できる２ヶ月間のことを「特例期間」と呼びます。特例期間の間は、日本の空港を出入りすることも可能です。ここで重要なのは「日本の空港は」出入り可能という点です。

　一歩日本を出て他国に入れば、日本の法律の管轄外になります。日本の法律では合法なのだと説明したところで、在留カードの見た目の期限が切れているので、在留期限が切れていると言われてしまうことがあります。最悪の場合、本国から日本に戻れません。本国から日本に戻れるのかについては、その時の日本国外の、その国の空港の職員の方次第になってしまいます。つまり、確実に本国から日本に戻れると断言することが出来ず、運要素が入ってきてしまうのです。

　日本に戻れない可能性が0ではないということです。このようなリスクを負うことになりますので、審査中は日本国内に滞在することをおすすめいたします。

どうしても出国する場合の資料

　特例期間（在留期限は切れたものの審査中なので２ヶ月延長されている期間）に日本を出国する場合、本国から日本に帰る時の交渉材料として、入管が発行した書面や在留カード裏の申請中スタンプがとても心強く感じるのではないかと思います。

　そのような場合に特に注意しなくてはならないのが、在留資格申請をオンラインで行った場合、在留カード裏のスタンプを押してもらえない、なおかつ申請受理の書面は発行してもらえず、申請完了メールのみが入管から発行される唯一の申請証明書類になるということです。

　在留カードの裏のスタンプも、申請受付票（紙）の発行も、オンライン申請後に入管に後日お願いしに行ったとしても、対応してくれるものではありません。

　また、紙で申請した場合、申請受付票という用紙が入管から発行されます。そこには入管が押した印鑑もついており、非常に信頼性が高いものに見えます。その裏には、特例期間についての説明の文章もついています。（稀に裏書が無いものを渡されることがありますので、もし裏が白紙の場合は、裏書も欲しいと伝えた方が良いです。）また、この用紙は、申請書提出する窓口にて、申請受付票は英語でお願いしますと事前に指定すると、英語のものを発行してくれます。英文の資料であればどの国であっても一応は見てくれる資料になるのではないかと思います。

　紙の申請であれば、入管発行の申請受理文書（英文も可）が手に入りますし、在留カードの裏には「審査中」の旨の印鑑を押してもらえます。よって、特例期間に日本を出国する可能性がある方は、オンライン申請ではなく、紙で申請をして、できる限りの資料を取り揃えておいた方が良いと思っています。

　そして、繰り返しになるのですが、上記の疎明資料を持って行ったとしても、本国から日本に必ず戻れる保証はないので、できる限り出国をしないことをおすすめいたします。

まとめ

　在留資格変更や更新の審査中に在留期限を過ぎ、特例期間に入っている場合、法律上は日本の出入国自体は可能です。しかし実際には、出国先や帰国時の入国審査で日本の特例期間を理解してもらえるかどうかは“運”の要素が大きく、日本に戻れなくなるリスクがゼロではありません。

　また、オンライン申請では在留カード裏の「審査中」スタンプが押してもらえず、紙で発行される申請受付票（英語版も可）も発行されません。入管からの申請受付メールのみが唯一の申請したことの証拠になります。特例期間中に出国の可能性がある方は紙申請のほうが、安心材料が多くなります。それでも、出国には常にリスクが伴うため、やむを得ない事情を除き、審査が終わるまで日本国内で待つことを強くおすすめします。